紋谷幹男が、建築的印象をつぶやきながら、身近なお宮、お寺を散歩します。
第3091回 LIXILギャラリー GALLERY1(中央区京橋3−6):ものいう仕口展

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LIXILギャラリー GALLERY1(中央区京橋3−6)では、
ものいう仕口展。

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会場風景。
展覧会タイトルは、
ー白山麓で集めた民家のかけらー。

筆者は神社仏閣の建築鑑賞を続けていますが、
当然ながら、観る対象は出来上がった建物で、
仕上材に隠れている構造体は、
まれに小屋組みが垣間見れる以外は、
見ることができません。

日本の伝統木造建築において、
柱と梁のように、方向の異なる部材を、
地震や台風、積雪に耐えうる強さで、
何百年と永続的に接続するために、
現在のように接続金物がなかったので、
「仕口」と呼ばれる
部材をつなぎあわせる工法を用いていました。
「仕口」とは、2本の木材を、ホゾという突起と、
ホゾ穴で直角または斜めにつなぐ、
日本の伝統技法のことです。

その精緻で複雑で、かつ合理的な技術は、
日本の伝統木造建築の様々な特長のなかでも、
世界に誇ることのできる技術の一つです。

もちろん、それらは鑑賞用ではなく、
文字通り「裏方」なので、
建物の完成後は見えなくなってしまいます。

今回の展覧会では、福井県白山麓にあった
築200年以上の古民家で使われた
江戸時代の仕口16点の展示です。

直交し合う複数の柱、梁は、
ああ、このように一軒の家を支えてきたのだなと、
今では部分だけになったしまった木片に残る、
手作業で刻まれた仕口から、
名もなき匠の知恵と技を
堪能することができました。

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これは、直立していますが、小屋梁です。
四角い穴が下から支える柱のほぞに対するほぞ穴。
上の小さな丸い穴は、
伐採後、積雪を利用して山から里に
引っ張るための穴。


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梁と桁など、横架材同士を十字に交差させて
組む場合の仕口。


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写真では溝が写っていませんが、
「差鴨居」の男木。
この高さ(梁成)から、
この鴨居が飛ばされる大きな間口が予想されます。
※2間半!だそうです。


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「差鴨居」と梁が一体化された部材が
通し柱に取り合う仕口。


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無目鴨居梁。
左右で、通し柱、梁との関係で、
異なる仕口になっています。


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珍しく込栓が残ったままの柱の一部。


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欅の大黒柱。


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柱頂部の仕口。
上で直交する2本の梁を固め合うため、
2段に削り出した「重ホゾ」になっています。


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上半分の大きな仕口が梁に対するもの。
下の小さな仕口は、
左右の回り縁と鴨居。
上下の仕口の間に天井板が納まりました。



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頂部で丸太の梁を受ける仕口。
下の四角は貫の仕口。


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大面取りの梁を受けています。
下の横長の四角い穴は鴨居の仕口。


写真:筆者撮影

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20200204 鑑賞
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銅板本瓦葺き、四脚門形式の山門。

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斜めから。

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正面控え柱上部。
二面に禅宗様頭貫木鼻、台輪木鼻。

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本柱は棟柱で、繋貫と頭貫が並走しています。

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前後対称。
頭貫には斗を二つのせた根肘木が添えられます。

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山門から参道を見ます。

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塗塀に挟まれた参道を進みます。

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山門を見返します。

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本堂。

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斜めから。
銅板本瓦葺き、入母屋造り屋根平入り。
禅宗のお堂なので、向拝、縁はありません。



正面見上げ。
左右に花頭窓。

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正面を通して見ます。
低い腰長押までは板張りです。

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全体的に装飾的要素が少ない中、
内法貫虹梁に、菊と波の浮き彫りが施されています。
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石段の先に広い間口の山門。

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三間間口、薬医門形式の山門。
江戸初期に、横須賀城(掛川市)の
不開門が移築されたものです。

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斜めから。

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境内側。

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妻面。

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縦使いの冠木上を5列の男梁が直交します。
城郭の門らしい、装飾性を廃した、
骨太な意匠。

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旧本堂とほぼ同じ立面の新しい本堂。

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斜めから。
寄棟造り屋根平入り、
唐破風屋根向拝。

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向拝見上げ。

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鳳凰の懸魚彫刻。

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向拝柱側面に、象型の頭貫木鼻彫刻。
柱上に皿斗付き出三つ斗。

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木鼻は雲模様を巧みに象の造形に生かした秀作。
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軸組、造作材が朱塗り、
楼門形式の山門。

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正面見上げ。

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斜めから。
初層、桁行一間、梁間二間、
上層、桁行三間、梁間二間。
瓦葺の入母屋造り屋根平入です。

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几帳面が取られた方柱の
正面控え柱上部。
二面に禅宗様頭貫木鼻。
一手の組物から、長く腕木が持ち出されています。

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上層軒回り。
二軒の疎ら扇垂木。

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一手の組み物。
丸桁沿いに蛇腹支輪。

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後年補修の、柱と一体化された、
木製の礎盤。

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山門から延べ段の参道を見ます。

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本堂。

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鴟尾をのせた寄棟造り屋根平入、
流れ向拝。

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三間向拝見上げ。

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頭貫虹梁と、側面に禅宗様頭貫木鼻。

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向拝を横から。
軒桁レベルに水平の繋ぎ虹梁。
禅宗のお堂に向拝は珍しいですが、
向拝回りは後年の増築のようです。
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両部鳥居形式の石鳥居。

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観音堂。

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斜めから。
入母屋造り屋根妻入り、流れ向拝。
板張りの身舎と組高欄が朱塗りで、
向拝と軒回りが素木造り。

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向拝柱上部。
正面唐獅子、側面(可愛い前脚の)象の頭貫木鼻彫刻。
象頭に連れ三つ斗。

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「松に鶴」の欄間彫刻。

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向拝を横から。
緩い円弧の海老虹梁。

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牡丹の籠彫の手挟み。

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身舎柱は円柱で、二面に禅宗様頭貫木鼻。

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弁天堂。

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周囲が掘割で、橋を渡ってお参りします。
宝形造り屋根、流れ向拝。

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正面。
組高欄と身舎の円柱だけが朱塗り。

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親子龍の欄間彫刻。

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向拝柱上部。
正面唐獅子、側面象の頭貫木鼻彫刻。

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向拝を横から。

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牡丹の籠彫の手挟み。

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身舎出隅上部。
二面に禅宗様頭貫木鼻。

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粽付き円柱上に台輪、その上に一手先の組物。
中備えは彫刻蟇股。

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雲模様の浮き彫の支輪板と、
親子猿をあしらう彫刻蟇股詳細。
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薬医門形式、総朱塗りの山門。

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境内より見返し。

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斜めから。

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本柱上を先端が繰型の男梁が直交し、
その下に斗栱を介して根肘木。

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根肘木の雲模様の肉合彫。

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棟木直下に笈型付き大瓶束。
控え柱側面に象型の頭貫木鼻。

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境内をのぞみます。
参道の途中で、仁王像が見張っています。

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仁王像。
「阿吽」を髭で作り分けています。

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浪切(なみきり)不動尊。

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切妻造り屋根妻入りに、
片流れの向拝屋根が差し掛けられます。

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向拝柱上部。
頭貫虹梁と、象型の頭貫木鼻。

ここで一息。
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本堂の右脇に建つ諸尊堂。

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銅板葺き入母屋造り屋根妻入り、
流れ向拝。

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正面唐獅子、側面象の頭貫木鼻彫刻。
象頭の上に連れ三つ斗。

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向拝を横から。
海老虹梁が掛かります。

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粽付き円柱の身舎柱と海老虹梁との取り合い。

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出隅上部。
台輪上に出三つ斗。

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格天井張りの外陣。
内陣との境に枡格子戸。

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本堂の左脇に建つ大師堂。
こちらも、銅板葺き入母屋造り屋根妻入り、
流れ向拝。

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向拝柱側面に禅宗様頭貫木鼻。

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海老虹梁と手挟み。

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粽付き円柱の身舎柱と海老虹梁との取り合い。
円柱上に直接出三つ斗。


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鐘楼堂。
総白塗りのコンクリート造に、
軒回りが素木のハイブリッド。

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見上げ。

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飛貫虹梁風に化粧材を貼り付けています。

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尾垂木1本付きの三手先斗栱。
格子組の小天井と蛇腹支輪。

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二葉神社の朱鳥居のトンネル。


 
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再び参道に戻り、本堂を目指します。

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いよいよ最後の長い石段が現れました。

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これを登り切れば境内に出ます。

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開けた境内の正面に、巨大な堂宇の本堂。
 江戸時代後期の火災で伽藍を焼失し、
現在の本堂は1983年に再建されたものです。

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斜めから全景を見ます。
中央に本堂、渡り廊下を挟んで左右に翼棟の建つ、
シンメトリー構成。
本堂は銅板葺きコンクリート造、
入母屋造り屋根千鳥破風付き平入り、流れ向拝。
翼棟は、銅板葺きコンクリート造、
入母屋造り屋根妻入り。

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三間向拝正面。

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几帳面取り方柱の向拝柱上部には、
二面に禅宗様頭貫木鼻。

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向拝を横から。
円柱の身舎柱。
海老虹梁が長々と渡ります。

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手挟み詳細。

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身舎柱と海老虹梁の取り合い。
円柱上に一手先の組物。
コンクリート造とは言え、
細部まで丁寧に造り込まれています。

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出隅上部。
鬼斗もしっかり出来ています。

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柱や内法長押には、エンボスのかかった
銅板化粧カバーが施される
上質な意匠。

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外陣は折上げ格天井。

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入り隅の納まり。

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本堂と翼棟を結ぶ渡り廊下。

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渡り廊下を見通します。
柱ごとに頭貫虹梁が掛かります。

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円柱には、銅板化粧カバー。

ここで一息。
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第3083回 尊永寺(そんえいじ)高野山真言宗/静岡県袋井市豊沢・2

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黒門をくぐり、石段を上がれば、
裏参道沿いに、数棟の堂宇が並んでいましたので、
寄り道して見てゆきます。

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2階建ての本坊。



正面。
千鳥破風と唐破風が、上下、斜めに重なります。

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玄関の唐破風屋根。

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妻壁は縦板張りで、中央に笈型付き大瓶束。

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玄関柱上部二面には、禅宗様頭貫木鼻。

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持仏堂。



銅板葺き入母屋造り屋根平入りの身舎に、
入母屋造り屋根妻入り玄関。

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複雑な屋根構成の本坊客殿の「紫雲閣」。

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ここだけが銅板葺きの唐破風屋根の玄関。

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玄関柱側面に禅宗様頭貫木鼻。
ケラバの軒桁下に連れ三つ斗。

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身舎屋根から一段下がって、
廊下縁の屋根が裳階風に掛けられています。

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連続する腰付き硝子荒格子障子。
最下の硝子だけが摺り硝子になっています。

ここで一息。


 
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第3082回 尊永寺(そんえいじ)高野山真言宗/静岡県袋井市豊沢・1

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高野山真言宗の別格本山で、
厄除観音として知られる静岡県袋井市の観光名所です。

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楼門形式の仁王門。
室町後期(1467〜1572)建築の、国指定重要文化財です。

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斜めから。
初層、上層とも桁行三間、梁間二間の三間楼門。
杮葺き、入母屋造り屋根平入りです。

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斜めからの見上げ。

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三手先の腰組。

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上層は尾垂木1本付きの三手先斗栱。

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背面正面。

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正面見上げ。
袋井市のHPで、この仁王門の説明で、
「桃山時代の様式を今に伝えています。」とあり、
筆者の理解である「華やかな細部装飾」など、
それらしき痕跡を探しますが、
どうも見当たらず、
杮葺き、入母屋造り屋根のことかな、と、
独り合点します。

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山門から長く続く参道を見ます。

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綺麗に整備された長い参道。

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しばらく続きます。

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参道の左手に檜皮葺の山門が現れました。
1712年建築、
市の指定建造文化財にも登録されている黒門です。
かつて、「学頭院 正法院」と呼ばれる寺があり、
黒門はその正法院の山門でした。

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斜めから見ます。
四脚門形式の山門。
自然石の石段も丁寧に造られています。

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正面控え柱上部。
二面に厚みのある禅宗様頭貫木鼻。

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大きな板蟇股。

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棟木と冠木の間に縦格子。

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さらに石段が続きます。

ここで一息。
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